英語の長文が読めない理由と音読の方法
2016/12/19
単語も構文もやってるのになかなか長文が読めるようにならない、高ペン君
「音読」
なぜ長文が読めないのか
まず、なぜ私達は英語長文が読めないのでしょうか。それは、日本語で英語を読もうとしてしまい、行ったり来たりするからです。 英語長文を読んでいてよくわからなくなってしまっている時の頭の中を再現してみましょう。
There was a good slope in a park not far from the Smiths’ house ,which children often used for their sledges, so Mr.Smith said that he would take Bobby there in the car. They put the sledge in and went off.
(伊藤和夫(1987)『ビジュアル英文解釈Ⅰ』駿台文庫)
- 一文に集中しすぎて、結局文章全体が何を言っているのか分からなくなる
- 関係代名詞や、複雑な構文が出てきたらとまる
- 一文に集中してると前の文章がメモしてても何言ってたか忘れちゃうから、行ったり来たりしてもう一回読んでたりしたら、あっという間に時間オーバー
更に、一生懸命長文を読んだ後にやっと問題を見て、さあ選択肢を選ぼう、と思ったときには、長文全体の理解が曖昧なので、もう一度それっぽいとこを読む、また行ったり来たりして、時間オーバー、とりあえず何となくそれっぽい選択肢を選択 これじゃあ時間もかかる、曖昧な選択だから正解にもならないですよね? これが長文がなんとなくしか読めない、時間がかかる原因です。 そしてその原因は、もちろん文法力の定着不足というのもありますが、 「行ったり来たりする」というところにあります。
英文を読むとき、前から意味を取っていく
ということなのです。
I love you .
音読の方法
それでは、音読の方法を紹介していきます。 音読をするときには、
- 授業を受け終わって、ノートを整理したもの
- 長文の問題集で解き終わり、精読(上記のこと)し終わったもの
- 模試で復習が終わったもの
を使います。音読は、あらかじめ既に問題を解き終え、丸付けも終わり、分からない単語も調べ終わり、つまづいた構文なども理解し終わり、全訳も終わった状態のものでやります。
「そもそも日本語と英語の文構造がまったく違うのだから、後ろから訳さないと意味がつかめるはずがない」といったように、前から訳すことに対して意味がないという意見もよくあります。しかし、しっかり精読し、構文の構造を理解した上で今から紹介するようにやれば、実際にやってみると分かりますが、前から意味をとっていくことが可能になります。その下地がない状態で、「前から訳せば読めるようになる」というのは全く違うと思います。
そしてただ何も考えずに読むのではなく、次の2点を意識しながら読みましょう。
①声を出しながら
②文を句・節ごとに区切って、頭の中で前から句・節ごとに意味を取りながら読む
声を出すことで、嫌でも前から読みます。I love you なら、I you love って読まないですよね。 そして、ポイントが②です。
前から意味を取っていく時に句・節のまとまりごとに訳しながら読む。
これが重要になります。 句は、I live in Japan.の、in Japan の部分、 節は、I think that you can try it. の、that you can try it の部分になります。 ここで念のため句と節について説明しておきましょう。
句とは
いくつかの語が集まって、ある品詞に相当する働きをするもの。句はそれ自体の中に<主語+述語>を持たない。句には名詞句、形容詞句、副詞句の3種類がある。(名詞句:主語、目的語、補語になる、形容詞句・副詞句:修飾語になる。in front of などの熟語は、前置詞句とせずに、in front of the house など、次に続く名詞まで全体をまとめて形容詞句や副詞句として考える。)
名詞句
名詞と同じように、主語、補語、目的語などの働きをする。名詞句になるのは、おもに不定詞及び動名詞である。 (例)
- To drive too fast is to drive foolishly.(主語・補語)訳:猛スピードで車を運転することは馬鹿げた運転をすることだ。
- Would you mind opening the window?(目的語)訳:窓を開けていただけませんか?
形容詞句
形容詞と同じように、名詞・代名詞を就職したり、補語になる。おもに不定詞、分詞、<前置詞+名詞>が形容詞句となる。 (例)
- That is the way to understand great art.(名詞を修飾)訳:それが偉大な芸術を理解する方法です。
- He is a pianist of great talent.(名詞を修飾)訳:彼はすばらしい才能を持ったピアニストです。
副詞句
副詞と同じように、動詞、形容詞、副詞や文全体などを修飾する。おもに不定詞、分詞、<前置詞+名詞>が副詞句になる。 (例)
- To be precise, the accident occurred at 12:24 p.m.(文全体を修飾)訳:正確にいえば、自己は午後12時24分に起きた。
- It began to rain in earnest.(不定詞を修飾)訳:雨が本降りになった。
節とは
いくつかの語が集まって文の一部を構成するとともに、それ自体の中に<主語+述語>を持っているものを節という。そのうちで文法上対等の関係で結びついている節を等位節といい、一方が他方に名詞・形容詞・副詞に相当する働きをして従属しているとき、その従属している方を、従節(または従属節、従位説)、これを従えている方を主節という。 従節には、句と同じく名詞節、形容詞節、副詞節の3種類がある。
名詞節
名詞説は接続詞(that, if, whether)、疑問詞(who, what など)、関係詞(what, whoever など)に導かれる節で、文の主語、補語、目的語および同格節になる。 (例)
- It was a pity that you couldn’t come.(主語)訳:君が来られなかったのは残念だ。
- We were surprised at the news that she had got divorced.(同格)訳:彼女が離婚したという知らせに驚いた。
形容詞節
形容詞節は関係詞(who, which, that, when, where など)によって導かれる節で、文中の名詞・代名詞を修飾する。 (例) He shivered like a man who was very cold. 訳:彼は寒くてたまらない人のようにブルブル震えた。
副詞節
文の中で副詞として働くものを副詞節という。時、場所、原因・理由、目的、結果、条件、譲歩、制限、対照、様態、比較などの意味を表す。 (例)
- My sweater shrank when I washed it.(時)訳:セーターは洗濯したら縮んだ。
- My face is swollen because I have just had a tooth pulled out.(原因)訳:歯を抜いてもらったばかりなので私は顔が腫れている。
参考:綿貫 陽、宮川 幸久、須貝 猛敏、高松 尚弘(2000)『ロイヤル英文法改訂新版』旺文社
試してみる
では、先ほど挙げた文でやってみましょう。
There was a good slope in a park not far from the Smiths’ house ,which children often used for their sledges, so Mr.Smith said that he would take Bobby there in the car. They put the sledge in and went off.
(伊藤和夫(1987)『ビジュアル英文解釈Ⅰ』駿台文庫)
単語)sledge そり go off 出かける
訳)スミスさんの家からそう遠くない公園によい斜面があって、子供達がよくそれを使ってそりで遊んでいたので、スミスさんは車でその公園にボビーを連れて行ってやろうと言いました。彼らはソリを車に詰め込んで、そして出かけました。
この文を句、節で区切ると、
There was a good slope/ in a park /not far from the Smiths’ house ,/which children often used /for their sledges, /so Mr.Smith said /that he would take Bobby there/ in the car./ They put the sledge in /and went off.
となります。 頭の中では、
よい斜面があった/公園に/スミスさんの家からそう遠くない/それを子供達はよく使っていた/そりで遊ぶために。 そのため、スミスさんは言った/ボビーをそこへ連れて行ってやろうと/車で/。彼らはそりを詰め込んだ/そして出かけた。
と、句、節のまとまりごとに前から訳していきます。Whichなどの関係詞が出てきたときは、「それ」として前から訳してくと意味を取りやすいです。先ほどの名詞節で挙げた例文を参考にしてみると、
We were surprised at the news/ that she had got divorced.
私達は驚いた 知らせに / それは(その知らせというのは)彼女が離婚していたということ。
といったような感じです。 また、実際に読むときは、この句、節の切れ目を意識して読むようにすると(ちょっと止まってみたり)、より定着しやすいです。
さらに・・・文章全体の要旨が把握しやすくなる方法
ここでさらに読む時に読み方を工夫することで、文章全体の流れをつかみやすくする方法を加えます。それは、
自分が英語圏の人になったつもりで、逆説の後や、重要な部分はゆっくり、大きな声で読む。
具体例などは早く読む。
ことです。例えばオバマさんのスピーチみたいに。そうすることで、文章の強弱をつかむことができ、自然とどこが重要で、どこが重要ではないか(英文はどこも重要なんだけど)をリズムでつかむことができ、文章全体の要旨がつかみやすくなります。その結果、英文を読む際に緩急がつき、速読にもつながるってわけです。
回数
これを「もういいよ、わかってるよはいはい」ってくらいまで読み込む。 大体予備校の先生や、合格者が言っているのは10〜15回くらいです。 やってみると分かりますが、1回や2回ではすんなりいきません。 先に紹介した慶應に合格した生徒は、毎日予備校の英語のテキストを15回読んでいたと言っていました。 9月から初めて、12月頭頃、つまり約2ヶ月で、格段に長文が読めるようになっていました。もちろんその生徒は、それに併せて文法の問題集を3周と、授業の予復習を徹底的にやっていました。
①声を出しながら
②文を句・節ごとに区切って、頭の中で前から句・節ごとに意味を取りながら読む
③句、節の切れ目を意識して読むようにする
④自分が英語圏の人になったつもりで、逆説の後や、重要な部分はゆっくり大きな声で、具体例などは早く読む
これを定着するまで何回も読む。音読は気分転換にもなるので、寝る前などなかなか机に向かいたくないなって時にもおすすめです。隙間時間をうまく使って、習慣化させましょう。大切なのは、継続です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここでひとつ、高ぺん君のこの発言を振り返ってみましょう。