ここを見ている人は、まさか自分が予備校に行くなどとは想像していなかった人も多くいるでしょう。ある程度予想していた人も、浪人になって通う「予備校」って一体なんなのか、正直よくわからないと思います。また、予備校ってなんとなくお金もかかるし、現役の時塾に通っていたけど自分の時間をとれなかったから、浪人で予備校に通うのは抵抗がある、という人もいると思います。
まずは答えをすぐに出すのではなく、予備校とはどういうところなのかをしっかり知った上で、自分の条件をしっかり書き出し、予備校に通うか宅浪するかどうかを決めましょう。
そこで今回は、浪人も経験し、某三大予備校でも勤務していた鈴ぺんが、
- そもそも浪人生の予備校生活ってどんな感じか。
- 予備校に通わず、宅浪でも合格できるのか
結論から言うと、、、
予備校は合格に必要なカリキュラムや情報、設備が整っていますが、宅浪の場合それを全部自分で揃えないといけません。なので、宅浪でも予備校と同じ環境を自分で作ることができればいいだけの話です。
予備校に通っていても、宅浪でも、落ちる人は落ちるし合格する人は合格します。何を当たり前のことを、と思うかと思いますが、大切なのは、第一志望に合格するための学力をつけるために、現役時の反省を活かしてやるべきことをしっかり分析し、それを実行できるように工夫できるかどうかです。
目次
予備校ってどんなところ?予備校は、学校です。
予備校って、高校や中学で通っていた塾と違うの?と思う人もいると思います。高校生や中学生の時に通っていた塾は学校の補助的なものでしたが、浪人生となると高校もなくなるので、朝から夕方くらいまで授業もあるし、クラスも担任もつきます。大学受験のために必要な授業、入試情報、サポート、施設などが完備された、いわば大学受験のための専門学校、といったところでしょうか。
予備校とは・・・
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大学受験のための専門学校
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月曜日〜金曜日まで毎日、朝9時頃〜夕方まで授業がある
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クラスがあって、担任もいる
- 自習室などの設備が完備されている
予備校ってどんなとこがあるの?予備校比較
次に、浪人生が通う予備校ってどんなところがあるのか、見てみましょう。
三大予備校
大学受験予備校は、全国各地にたくさんあります。有名なところでいうと、河合塾、駿台予備学校、代々木ゼミナールの、いわゆる「三大予備校」が挙げられます。三大予備校は、1980年代の受験戦争時代に全国展開を強め、当時ブイブイ言わせていた3校に対しその頃から言われるようになったようです。100年近くの伝統があり、全国模試の実施、生徒数の多さ、入試情報の蓄積量など、予備校業界の中心を担っています。
ただ、残念ながら代々木ゼミナールは2015年に経営規模を縮小し、7割の校舎閉鎖・全国模試、センターリサーチが廃止され、現在は全国7校舎となってしまいました。しかし、系列の代ゼミサテライン予備校は全国各地にあり、代ゼミの授業を映像で個別視聴できます。
河合塾と駿台のカリキュラム比較、費用比較については、それぞれ下記の記事にまとめているので、併せてチェックしてみてください。
浪人生の予備校比較。河合塾と駿台どっちがいいの!?という問題
1年間にかかる浪人生の予備校費用比較。河合・駿台・四谷学院 安いのはどこ?2016
【なぜ三大予備校がいいのか】
三大予備校が他の予備校より秀でている理由は以下の3点です。
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受験生の大半が受ける全国模試・センターリサーチを所持している
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大学教授や専門家の業界トップの講師が多数在籍している
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学校法人だから学割がきく(他にも学校法人の予備校であれば学割使える)
- 旧帝大・医学部・早慶など、難関大を志望している
→全国模試を持ち、そのため最新の入試情報、蓄積された過去の入試情報などのデータ量が得られる、コースラインナップも充実しているから。受験に必要なものは全て揃っている。
- 多くのライバルに刺激されながらやりたい
→意識高い受験生が集まりやすく、クラスの人数も多いから
最近注目の予備校
四谷学院
ー 科目間の得意不得意が激しい、大人数が苦手な人はおすすめ!個別指導をカリキュラムに組み込んだ「ダブル教育」
- 本部:東京都新宿区四谷
- 1974年創業
- 浪人生の校舎:北海道〜九州まで23校舎
- 少人数クラス
- 「科目別能力別授業」と、「55段階個別指導」のダブル教育のカリキュラム
- 志望校別のコースはあるが、テストによって一人ひとりに合ったクラスが割り振られるため、一人ひとり異なる時間割となる
- 模試は駿台ベネッセ模試(年3回)がカリキュラムに組み込まれている
- センター試験合否判定システムは、駿台ベネッセのデータネット
- 費用は駿台河合よりは若干安いが、合宿に参加、交通費(学割は使えない)のことを加味すると年間費用では同じくらい
四谷学院の看板である「ダブル教育」は、河合塾や駿台のような、同じコースの生徒はどの科目もみんな同じ授業を受ける形ではなく、科目ごとに自分のレベルに合った授業を受けます。それに併せて、「55段階個別指導」では、55テストを受け、その場で個別指導講師が採点、解説。55段階は、学習の穴を埋めるという目的もありますが、かなりの演習量があるので、なかなか自分ではつけにくい、記述力、応用力、解答力の向上につながります。しかも毎月レベル診断テストがあるので、自分の位置を常に把握しやすいです。
- 得意科目と苦手科目の差が激しい
- 河合の全統模試で総合偏差値が45を切っているけど、難関大へどうしても行きたい人
- 大人数が苦手な人
東進ハイスクール
ー 代ゼミなどから引き抜いた講師による、映像授業を中心とした現役生のための予備校。
- 本拠地:東京都武蔵野市吉祥寺
- 東進ハイスクールと、フランチャイズの東進衛生予備校とがある
- ハイスクールは関東中心に94校舎、フランチャイズの東進衛星予備校を合わせると全国に1000校舎程ある
- 基本現役生が中心
- 高卒クラスはHPには11校舎とあるが、本部に問い合わせたところ稼働しているのは新宿校のみで、他の校舎はその年の募集状況で高卒クラスがあるかないか流動的だとのこと
- 在宅コースもある
- 映像授業が中心。個別ブースで視聴する
- 全国模試:東進模試
東進は基本現役生が中心で、高卒専門校舎が新宿にできましたが、まだ本稼働とまではいっていないようです。授業を在宅で視聴し、担任が電話で面談をする「在宅コース」があり、そちらは1浪目までであれば受けることができます。近くに予備校がない浪人生にとってはいいかもしれません。ハイスクール、衛星予備校、在宅(全部名前は違うけど授業などは同じ)も、1浪目のみの受け入れで、2浪目や再受験、現役時に入試をしていない生徒の受け入れは行っていないとのことです。衛星予備校に関しては、他の予備校のようなクラスはなく、選択した授業を個別ブースで視聴する形になります。授業は高卒専用ではなく、現役と同じ授業内容になります。また、四谷学院と同様、株式会社のため学割定期は使えません。
- 近くに予備校がない!という人には、自宅で東進の授業が受けられ、担任もつく在宅コースがあるのでおすすめ。
地域の予備校
- 少人数がいい
- 地元の大学志望
自宅で予備校ってのもあるよ:オンライン予備校
近年は自宅のPCで予備校の授業を視聴できるオンライン予備校もいくつか登場しています。有名なところでいうと、受験サプリ、Z会、東進在宅コースなどが挙げられます。
受験サプリ(4月からスタディサプリ)
月額980円で授業見放題(年間11,760円)、教材は購入の場合は1冊980円、PDFでも印刷できます。受験サプリは、正直馬鹿にしていたのですが、実際登録して視聴してみると、講師の先生は実は河合の先生だったり、Z会の先生だったり、秀英の先生だったり、、、、と、授業はかなり分かりやすかったです。あれで980円は、本当にすごいと思いました。また登録すると、無料登録でも過去問のダウンロード、ドラゴン桜やオリラジのあっちゃんの受験コラムなどの受験情報を閲覧できます。ただ、授業に対する質問、添削、もちろん担任もつきません。なので、難関大志望者は、添削がつくZ会と掛け合わせてやるのがいいと思います。
→ 受験サプリ
Z会(Z会の通信教育)
Z会は添削通信教育のイメージが強いですが、添削指導+映像解説がつくものと、添削はつかず、映像授業だけのものとがあります。どちらも授業に対する質問ができ、添削指導の方には学習法、進路に関しても相談もできます。
料金は添削も映像もどちらも1科目から受講でき、添削の方の本科は入会金なしで、1講座から受講でき、1講座なら基本料金+受講料で62,400円、3講座ならセット割りが聞いて合計178,800円(例えば早慶文系志望英国社)、5講座以上なら296,400円(例えば東大志望で英国数理2)となります。資料請求で教材見本が見られます。映像は1講座あたり、年間一括受講プランだと、だいたい150,000円ぐらい。短期のセンター対策講座は11,000円〜21,000円。添削も、映像も、入会金はありません。また、クレジット払いができるのはうれしいですね。
→ Z会の通信教育
東進ハイスクール在宅受講コース
東進の授業を自宅PCで視聴できるコースです。授業だけではなく、在宅コースの担任が月例電話で進捗状況を確認してくれます。また、別途申込ですが、WEBグループミーティングができ、他の在宅コース受講生達とグループミーティングを行うことで入試情報、学習法などの情報交換をすることができます。授業の質問もできます。料金は入会金が32,400円、1講座(90分×20コマ)81,600円です。東進に問い合わせたところ、全科目とると、大体1科目2講座〜3講座とるのが妥当なので、例えば早慶文系志望だったら、6〜9講座ぐらいになります。すると合計だと489,600円〜734,400円くらいになります。
予備校の費用はどのくらいかかるの?
予備校(通学)の費用は、医学部医学科以外だと季節講習費あわせて大体年間で100万円〜150万円前後、医学部医学科専門予備校だと、200万円〜500万円年間でかかります。内訳は大体、
入学金:10万円(割引方法は予備校によって異なる)
授業料:60万円〜80万円(大体入学時一括払いか、2分割のところが多い)
季節講習費:20万円〜40万円(夏・冬)
その他:教材費・模試費(授業料に含まれている予備校とそうでない予備校がある)
といった感じになります。年間の費用については、河合・駿台・四谷の年間学費を比較したこちらの記事を参考にしてみてください。
予備校って何してくれるの?
予備校は、カリキュラムがあること、入試情報が入ってくること、自習室、過去問を利用できることが大きなポイントです。
学習面
- 合格に必要なカリキュラム、時間割が用意されている
- 分からないところを質問できる
サポート面
- クラスがあって、担任がいる
→HRによる入試情報の提供、志気向上
→困ったら相談できる。例)計画の立て方、模試の結果、出願校など
→OBOGトークが聞ける。
- センターの出願などのサポートがある
設備面
- 自習室がある
- 入試情報ルームがある
- 過去問がある
予備校生の1日ってどんな感じ?
参考までに、鈴ぺんが浪人生だったときの一日を紹介します。
AM 7:30 | 通学。電車で英単語。 |
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AM 8:00 | 予備校に到着。リポDを飲んで自習。一番に来ることで自習室の席はいつも同じ場所 |
AM 9:00 | 授業 1時間目開始 〜AM10:30(90分) |
AM11:00 | 授業 2時間目開始 |
PM12:30 | 昼休憩(〜PM13:30)鈴ペンはこの時間自習室が空くので、授業がないときは 15時まで自習。みんなは昼休憩だけど自習室が空いていたので、この時間にその日の復習 |
PM15:00 | 昼休憩(〜PM16:00)一人で非常階段でお昼ご飯 |
PM16:00 | 自習 。その日の復習や予習 |
PM18:00 | 単科の授業がある場合は授業。私は早慶大世界史や小論文のクラスを受講。授業がない日は自習。 |
PM21:00 | 終了、帰宅。電車で英単語と古文単語。 |
PM22:00 | 夕食、休憩 |
PM23:00 | 自習。英文の音読など |
PM24:00 | 就寝 |
予備校に通うことのメリットとデメリットは?
次に予備校に通うことのメリットデメリットについて見ていきましょう。
メリット
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カリキュラムが組み込まれているので自分でカリキュラムを考えることなくそれをこなしていればいい
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生活リズムが整う
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自習室などの設備がある
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入試情報がすぐに手に入る
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センター試験の出願や、出願の時にしっかり出願指導がある。なんならセンターの願書ももらえる
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悩みをすぐに相談できる
デメリット
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お金がかかる
-
友達や講師、担任が合わなかったら辛い
-
通ってるということだけに満足してしまう
- 友達に流される可能性がある
予備校に行かないと受からないのか
第一志望合格に必要なのは
①合格点に達する学力を伸ばすための確実なカリキュラムとその実行
②集中して勉強できる場所
②入試動向や出願についての入試情報
この3点が必要です。予備校はこの3点が全て揃っています。なので、簡単に言えば要はこの3点を自分で作り上げることができるのであれば、予備校に通わなくてもよい、ということになります。
ただ、予備校に通っていても、この3点、特に①、予備校のカリキュラムの消化をおろそかにしてしまっている人は、せっかく予備校に通っていても成績が伸びない人が多いです。
予備校は受験生に合格の要素を提供し、後押しをしているのであり、それを受験生自体が使い倒さなければ、予備校に通う意味はないのです。
予備校に通っていても落ちる人:「通っていること」に安心して消化できていない人
デメリットの点でも触れましたが、予備校に通っていても「予備校に通っている」ことに安心してしまい、カリキュラムを100%消化する努力をしない、分からないことを追求しない、予復習がおろそかになっている、そんな人は、予備校に通っていても合格できないことが多いです。
これは宅浪でも同じことで、「この参考書をやっていれば合格する!」など、自分になにが不足しているからその参考書が必要なのか、その論理が抜けている人は、成績はある程度までは上がっても、志望校の合格点までには達しません。
予備校に行っても、宅浪しても成績が伸びない人の特徴は、「○○をやっていれば合格する!」など、勉強をやった気になっている人です。勉強は、知らないことを理解する作業です。理解していなければ、いくら効果のある授業も参考書も意味がありません。受験勉強は、人それぞれです。自分が理解して分かる、それを使いこなせることが重要なのです。予備校の授業も、分からないことは理解できるまで、講師に質問しようが自分で調べようがなんとかする、それを使いこなせるよう講師の指示に従って復習と演習を重ねる、この作業なしでは、通っても意味がありません。
こんな人は宅浪やめたほうがいい:予備校で自分の時間があまり持てなかったから宅浪する人
逆に危険なのは、よく鈴ペンが勤務していた予備校にも多かった相談で、現役の時予備校のせいで自分の時間があまり持てなかったからという理由で宅浪する人。そういう人はむしろ通えるなら予備校に通った方がいいです。
というのも、そういう人は、そもそも計画を立てるのが苦手な人だからです。そういう人に多いのが、予備校の授業を中心に学習を進めるのではなく、分析せずに多くの参考書に手を出して、結局すべてがおろそかになり、落ちた理由を「時間がない」→予備校の授業のせい、という理由に落とし込めてしまっているからです。理由は「時間がない」のではなく、計画の立て方、予備校の授業の消化がそもそも下手だからです。
宅浪こそ、自分でカリキュラムをつくり、時間割を管理していかなければならないのです。なので、まずは予備校に通う、宅浪する以前に、しっかり昨年度の自分の反省点にしっかり向き合うことが必要です。
予備校に行くとしても宅浪でもまずは前年度の反省をしよう
予備校に通う前に、この作業はしっかりやっておきましょう。予備校も宅浪も、いずれにせよ「第一志望合格」のための手段でしかないのです。だから、できれば予備校を選ぶ前に、自分がなぜ現役で失敗したかを事細かに自分をごまかさずに分析し、書き出し、そして合格するために必要な条件を考えましょう。例えば、
①計画が上手くこなせなかった
→ どうやって上手くこなせなかったか → 参考書手だしすぎた → 理由は?その参考書を使い来てなかった → 使い切るとは? → 隅々まで理解すること → 理解することとは?・・・・・
②模試をうけなくなった
→ なんで? → 怖かったから → 何が怖かった? → プライドが傷つけられる → 模試って何のため? → ・・・・
など。
こんなかんじで、自分としっかり向き合い、志望校の合格点に達するためにはどうしたらいいか、自問自答しましょう。
まとめ
以上、予備校とはどんなところか、予備校に通わないと合格できないのか、についてまとめてきました。まずは、昨年度の敗因をしっかり自問自答した上で、どこの予備校に通うのか、はたまた宅浪するのかを決めましょう。
目的は第一志望に合格すること、そのための力をつけること、そのために分からないことを分かるようにすること、これが目的になります。それを忘れずに、自分にとって何がその目的を達成するニーズとなるのかをしっかり分析した上で、予備校、もしくは宅浪するのかを決めましょう。
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